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美容目的じゃない!山で「日焼け止め」を塗るべき本当の理由と、絶対に落ちない最強の選び方

2026. 05. 26

今回は、登山における「日焼け止め」をテーマにお届けします。

先日、登山系の展示会に出展する機会がありました。普段は美容系や化粧品の展示会に出向くことが多いのですが、分野を変えて多くのアウトドアマンとお話ししてみると、ある新鮮な驚きがありました。それは、「登山をする人は、日焼け止めを含めたスキンケアの基礎知識が驚くほど浸透していない」ということです。

 

体感では、登山の現場における女性の日焼け止め使用率はほぼ100%に近いです。最近では顔に塗るだけでなく、アームカバーや帽子を併用して完璧に対策されている方を多く見かけます。

 

一方で、男性の登山者はかなりの割合で日焼け止めを塗っていません。「男だから焼けてもいい」「朝から黒くなるのは気にしない」という方も多いですし、実際に山でお会いする方の中には、激しい照り返しを受けて顔が真っ赤になっていたり、長年の紫外線ダメージによって非常に深いシワやシミが刻まれていたりするケースが多々あります。

 

もちろん、それ自体は個人の自由なのですが、プロの視点から言わせていただくと、非常にもったいないと感じてしまいます。なぜなら、私が登山での日焼け止めを強く推奨するのは、決して「美容のため」だけではないからです。

 

1. 山で日焼け止めを塗るべき理由は「翌日の疲労軽減」にある

 

日焼け止めを塗る最大のメリットは、「塗った日、そして翌日の疲労具合がまったく違う」という点にあります。これは感覚値ではなく、多くの大学や大手化粧品メーカーの研究データでも明確に立証されている事実です。

 

紫外線による「日焼け」の本質は、皮膚が軽度の「やけど(炎症)」を起こしている状態です。体が紫外線を浴びてダメージを受けると、それを修復しようとして体内では大量のエネルギーが消費され、活性酸素が生み出されます。これが全身の細胞に負荷をかけ、強い疲労感をもたらす原因になります。つまり、日焼けをするだけで、歩いていない時でも体力がガリガリと削られていくのです。

 

山は本来、一歩間違えれば危険を伴う場所です。低体温症、栄養不足(シャリバテ)、疲労困憊による滑落や道迷いなど、さまざまなリスクが存在します。

 

日焼け止めによって「余計な体力の消耗を抑える」ということは、山の安全マージンを広げる立派なリスクマネジメントなのです。液体なので荷物にもならず、持っていくだけで夜に肌がヒリヒリして眠れないリスクや、翌日の深刻な疲れを防ぐことができます。

 

長袖を着る、帽子をかぶるといった物理的な対策ももちろん重要ですが、どうしても肌が露出してしまう顔や首元、手の一部分には、日焼け止めによるコーティングが不可欠です。

 

2. 失敗しない!登山用日焼け止めの正しい選び方

では、ドラッグストアや登山のショップに並ぶ膨大な製品の中から、一体どれを選べば良いのでしょうか?重要なポイントを3つに凝縮して解説します。

① スペックは「SPF50+ / PA++++」一択

まずパッケージの表面を見てください。登山で使うのであれば、以下の最高数値を満たしているものを迷わず選んでください。

  • SPF50+:主に肌が赤くなる原因となる紫外線(UV-B)を防ぐ指標。50以上はすべて「50+」と表記されます。

  • PA++++:シワやたるみの原因となり、肌の奥まで届く紫外線(UV-A)を防ぐ指標。プラスが4つ(フォープラス)が国内最高基準です。

 

山の紫外線は、標高が高いため非常に強くなると言われています。下界よりも圧倒的に過酷な環境だからこそ、スペックは妥協せず最高値のものを選びましょう。

 

② 成分は「紫外線散乱剤」ベースを選ぶ

ここからが少し専門的な、しかし最も重要な見分け方です。日焼け止めは、そのカット仕組みによって大きく「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類に分かれます。登山に持っていくべきなのは、「紫外線散乱剤」をベースにしたもの、あるいは「散乱剤と吸収剤の組み合わせ」のものです。

🔍 パッケージからの見分け方

  • 一番簡単な方法:製品の箱や容器に「ノンケミカル」*と書かれているものを選んでください。これは「紫外線吸収剤が使われていない(=散乱剤ベースである)」という意味です。

  • 成分表を見る方法:製品の裏面にある成分表を確認してください。法律上、配合量の多い順に記載されていますが、その上部に以下の2つの言葉があるかを探します。

    1. 「酸化チタン」

    2. 「酸化亜鉛」

この2つが紫外線散乱剤の正体です。これらがしっかりと配合されている製品を選びましょう。

 

③ 形状は「シャカシャカ振るタイプ」を選ぶ

クリーム状、乳液状、ジェル状など様々なテクスチャーがありますが、選ぶべきは容器の中にカチカチと音がする球が入っていて、使用前に「シャカシャカと振るタイプ」のものです。これが、登山において最も重要なポイントになります。

 

先ほど紹介した「酸化チタン」や「酸化亜鉛」は、名前に「酸化」と付く通り、正確には金属を酸化させたものです。つまり、本質的には「水にも油にも絶対に溶けない砂の粒子」のようなものです。この非常に細かい砂の粒子を肌に隙間なく敷き詰めることで、紫外線を物理的に跳ね返す仕組みになっています。

 

この粒子は重いため、サラサラした液体の中に混ぜておくと、店頭に並んでいる間にどんどん底へ沈殿していってしまいます。それを、使う直前に自分で「シャカシャカ」と激しく振ることで、液体の中に砂の粒子を限界まで均一に、綺麗に再分散させるのです。

 

このタイプが、結果として最も紫外線のカット率が高く、なおかつ肌への密着力が非常に強いため、持続性が高いという特徴を持っています。

 

3. 【要注意】「スポーツ用」「スティックタイプ」の落とし穴

ここで、多くの方が陥りがちな罠についてお話しします。お店に行くと「スポーツ用」「アウトドア用」と書かれた製品や、消しゴムのように手を汚さずに塗れる「スティックタイプ」の日焼け止めがよく売られています。片手が塞がっていても塗れて便利そうに見えますが、実はここに盲点があります。

 

「スポーツ用」や「スティックタイプ」がなぜそう呼ばれているかというと、その多くは単に『手が汚れなくて塗りやすいから』という理由にすぎません。

 

肝心の「耐水性(汗や雨への強さ)」や「運動したときの落ちにくさ」は、別問題であることが非常に多いのです。スティックのりタイプのものは、激しい運動をして大量の汗をかくと、かなり早い段階で流れ落ちてしまいます。

 

一般的な日焼け止めの試験(SPFやPAの数値を測定する試験)は、涼しい実験室の中で動かずに測定されるため、汗をかいたときや雨風にさらされたときの「落ちやすさ」は数値に加味されていません。

 

だからこそ、「スポーツ用だから大丈夫」と過信せず、前述した【SPF50+ / PA++++ × 紫外線散乱剤(酸化チタン・亜鉛) × シャカシャカ振るタイプ】の条件をクリアした製品を選ぶ必要があります。わざわざ高価なスポーツ専用品を買わなくても、この条件を満たした通常のドラッグストアで売られている大手の二層式日焼け止めの方が、驚くほど耐水性が高く、山で圧倒的な実力を発揮してくれます。

 

4. まとめ:正しい対策で、明日の山をもっと快適に

今回の内容を簡単に振り返ります。

  1. 登山のスキンケアは美容のためではなく、次の日の疲労を激減させるための「安全対策」である。

  2. スペックは国内最高値の「SPF50+ / PA++++」を選ぶ。

  3. 成分表を見て「酸化チタン」「酸化亜鉛」が入っているもの(ノンケミカル)を選ぶ。

  4. 最も落ちにくく効果が高いのは「シャカシャカ振る二層式タイプ」。

  5. 利便性だけの「スティックタイプ」や「スポーツ用」の表記に惑わされない。

 

最近の日焼け止め技術は本当に進歩しており、正しく選んだ日焼け止めは、びっくりするほど汗や水で落ちません。しっかり対策をして山に登れば、下山後の体の軽さ、翌日の疲労の抜け方に驚くはずです。

これまで日焼け止めを塗る習慣がなかった男性の方も、ぜひ次回の登山から「信頼できる最強の1本」をバックパックに忍ばせてみてください。驚くほど快適な山旅が待っていますよ!

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