オイル洗顔、オイル美容が合わない、ニキビができた、肌荒れする、ヒリヒリする、痒くなる。そんな時に読んでおきたい心のクスリ
2025. 01. 24今回は、オイル洗顔、オイル美容をしたけど、合わない、ニキビができた、肌荒れする、ヒリヒリする、痒くなるなどの問題について考えたいと思います。
そもそもオイル洗顔とは
オイル洗顔とは、肌にオイルを塗り、メイクや汚れを浮かせてから、洗い流す方法です。クレンジングや洗顔料や石鹸で洗顔する方法とは異なり、肌を刺激する成分や洗い流すという行為がないため、洗いすぎによって肌に必要な皮脂や保湿因子が取られすぎることが起こりにくい美容法です。
オイル洗顔には、洗いすぎが起こらず、界面活性剤による皮脂の除去やNMFの流出が起きないため、肌の乾燥を防ぐ効果があります。また、オイルの持つ保湿力により、肌に潤いを与えることができます。
オイル洗顔、オイル美容で見られる肌荒れ事例について
ここでオイル洗顔でよくSNSで見る肌荒れ事例について羅列して見たいと思います
- ニキビができた
- 肌が赤くなった、肌荒れした
- ヒリヒリする、痒くなる
この3つが投稿内容のほとんどと考えられます。今回は、オイル洗顔でもオイル美容でもどちらでも構いませんが、オイルを使った場合のトラブルについてそれぞれについて解説していきたいと思います。
オイル洗顔でニキビができた
SNSを見ているとこういった感想を持たれている人もいます。まず大前提として化粧品を塗ってニキビができたというSNSの感想はあまり参考にならないと考えています。
ニキビと化粧品の関係性は2024年現在で科学的にほとんど分かっていません。多くのニキビに関する専門書、論文を読んでいますが、ニキビの原因が化粧品やメイクというのはほとんど主要な原因として書かれていません。
それもそのはずで研究がほとんどないからです。ごく僅かですが、化粧品がニキビの原因になる書かれている場合もありますが、全く実験をしたことがなく、根拠がほぼない著者の自説や仮説として書かれている状態です。
そもそも化粧品やメイクという大括りにしている時点で、情報としては参考にはなりません。それは化粧品やメイクといっても無限に商品があり、それを構成している成分、原材料、組み合わせが無限だからです。
通常科学の世界では、どこどこの化粧品の、どの成分で、その成分はどこどこの会社が作っていて、それがどのように肌に影響するからニキビができるという作用まで解明して初めて、ニキビと化粧品の関連性を指摘できます。ですがそれをやろうとすると膨大な費用と膨大な時間がかかってしまい、解明を誰もやろうとしません。
各原料メーカーさんが安全性試験やヒト試験等をやっている時点でニキビが爆誕する原材料を売り出す可能性も低く、メーカーも製品の安全性試験もしており、処方も原材料も開示していない時点で原因を特定するというのは困難を極めます。
また化粧品の問題だけではく、それぞれ遺伝子も違い、性別や年齢、人種、住んでいる環境、生活習慣、その他ストレスも全く違う中で、はいそれがニキビの原因ですというのを特定するのは、相当難しいと考えれます。
ニキビの原因は、化粧品以外のたくさんの要素が通常の要因として挙げられており、それを除いて化粧品だということを証明することがそもそも難しいため、残念ながら今後も当分の間は分からないものだと思います。
参考文献
Ghani, H.; Rahman, R.; Liu, K.; Cubelli, S. An investigation of makeup ingredients and their effects on acne cosmetica with dermatologic practice recommendations. SKIN J. Cutan. Med. 2021, 5, 474–481.
コメドができやすいオイルは存在する
その一方で特定のオイルや化粧品がニキビの初期の原因であるコメドを形成する可能性があるものがあるというのはよく研究されています。いわゆるノンコメドジェニックテストと言われるものです。
ただこのテストも賛否両論あるため、一概に結果が良かったから良い、悪かったから悪いというのは言えない試験のため、参考程度ぐらいに聞いておく必要性はありますが、参考にはなるかなと思います。
こちらがノンコメドジェニックテストのratingの結果です。ratingが高いオイルほど、コメドができやすいと言われていますので、参考にしてみてください。
- ココアバター - 4
- ココナッツバター - 4
- ココナッツオイル - 4
- コーン油 - 3
- 綿実油 - 3
- ミンクオイル - 3
- ダイズ油 - 3
- 小麦胚芽油 - 5
- サメ肝油 - 3
ちなみにベビーオイルでよく使われているミネラルオイルは最もコメドができにくいオイルとして米国皮膚科学会の研究で分かっています。このあたりは面白い結果です。
たまにコメドができやすいオイルを使って、オイル洗顔をして、ニキビができたという情報もみかけますが、それはそれでそれが原因かもねと言えるかもしれませんが、その他の要因がありすぎるために断定はできません。コメドができやすいオイルはかなり科学的には分かっているため、調べるというのもありです。
参考文献
Ghani, H.; Rahman, R.; Liu, K.; Cubelli, S. An investigation of makeup ingredients and their effects on acne cosmetica with dermatologic practice recommendations. SKIN J. Cutan. Med. 2021, 5, 474–481.
ニキビじゃなくて、それ稗粒腫
オイル洗顔をしたら、ニキビがたくさんできた。という投稿もたまに見かけますが、そもそも化粧品を使って、化粧品だけが原因でニキビがたくさんできるというのはほとんど可能性が低いと言って過言ではないと考えています。せいぜいできても1個のレベルかなと思っていまして、爆誕のようなたくさんできるってのは、化粧品の原因ではとてもじゃないですが考えにくいと思っています。
よくよく投稿を見ると、それニキビじゃなくて、稗粒腫じゃないかというのが多い感想です。稗粒腫はそもそも認知度が低いため、見た目も少しニキビに似ているためにニキビと勘違いする人もかなり多くいます。
稗粒腫とは
稗粒腫(はいりゅうしゅ)は、皮膚にできる小さな良性腫瘍で、1~2mmほどの白色や黄白色の丘疹として現れます。見た目が稗の粒に似ていることからこの名前が付けられました。
原因
稗粒腫の正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が考えられています。
- 毛包閉塞: 毛穴が角質などで詰まることで、内部に角質が蓄積し稗粒腫が形成されます。
- 外傷: 擦り傷や火傷、手術などの皮膚への刺激が原因となることがあります。
- 遺伝的要因: 家族に稗粒腫が多い場合は、遺伝的な体質が影響している可能性があります。
- 紫外線: 紫外線による皮膚へのダメージが、稗粒腫の形成を促進する可能性があります。
- 薬剤: ステロイド外用薬などの長期使用により、稗粒腫が発生することがあります。
好発部位
顔面、特に眼周囲に多く見られますが、頬、額、首などにも生じることがあります。
化粧品との関係性
化粧品と稗粒腫の直接的な関連性は、現在のところ明確に証明されていません。しかし、以下の点に注意することで、稗粒腫のリスクを減らせる可能性があると考えられています。
- 油分の多い化粧品: 油分の多い化粧品は毛穴を詰まらせやすく、稗粒腫の原因となる可能性があります。油分の少ない、ノンコメドジェニックの化粧品を選ぶようにしましょう。
- 摩擦: 強い力で化粧品を塗ったり、クレンジングしたりすると、皮膚への刺激となり稗粒腫を誘発する可能性があります。優しく丁寧に扱うようにしましょう。
参考文献
- 日本皮膚科学会雑誌
- Dermatologic Surgery
稗粒腫ができた場合は、何かのせいにするのではなく、一度お医者さんに診てもらい治療に専念するのがおススメです。
ミネラルオイルを使ったオイル洗顔で肌が赤くなった、肌荒れした
こちらもよく見かける投稿です。とても不思議なのがミネラルオイルで肌が赤くなった、肌荒れしたという投稿を見かけることです。当初こういった投稿を見た時にとても不思議だなと感じました。
そもそもミネラルオイル自体は肌に何かするというよりは蓋をするような原材料で、肌自体に何もしなければ、悪さもしないというな原材料なので、とても不思議な現象だと感じています。
昔は、ミネラルオイルに含まれていた不純物が肌に悪さをするといった大昔の化粧品の歴史がありますが、技術発展し、精製度が格段に上がった数十年前からそのような心配はありません。
オイル洗顔をして肌荒れしたという投稿に対して、反論意見がある人は、そもそもオイル洗顔自体はクレンジングオイルと全く同じメイク落としの原理でメイクを落としていることを知っている状態で、ミネラルオイル自体に肌を悪くするような研究結果もなければ、作用もないので、副作用等もないと考えてからだとのことだと考えています。
しかし、肌荒れ報告する人は実際いる。とても不思議な現象というのが私の見解です。そこで今回、仮説を考えました。
もしかしたらオイルで肌が痒くなる、熱く感じる、肌が荒れる人がいる、もっというと医者が出した保湿剤でも荒れる、赤くなる機構に似ているかもしれないという仮説に辿り着きました。
保湿でかゆくなる?その意外な理由と解決策
みなさんは、乾燥肌でお悩みの皆様、保湿クリームを塗るとかえってかゆくなってしまう経験はありませんか?実は、これはよくある現象なのです。今回は、保湿でかゆくなる意外な理由と、オイル美容の関係性、そしてその解決策についてご紹介します。
かゆみの悪循環
肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、本来表皮の下にあるはずの「かゆみを感じる神経」が、角層のすぐ下まで伸びてしまいます。
この状態では、わずかな刺激でもかゆみを感じやすく、かゆいから掻いてしまうと、さらに神経が刺激され、かゆみが増してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
一時的な楽さと長引く悪循環
確かに、掻くと一時的にかゆみが和らぐことがあります。これは、脳が痛みを感じることで、かゆみの伝達を抑制する仕組みによるものです。
しかし、掻き壊してしまうと、皮膚のバリア機能がさらに低下し、かゆみ神経がより敏感になり、悪循環が加速してしまうのです。
かゆい肌に油分はNG? 脂溶性保湿剤の落とし穴
「乾燥してるし、しっかり油分でフタをしないと!」かゆい時、そう思って油分の多いクリームを塗っていませんか?
実は、それがかゆみを悪化させている可能性があります!
脂溶性成分が刺激になることも
保湿剤は、大きく分けて「脂溶性」と「水溶性」の2種類があります。
- 脂溶性:油性クリームなど。角層を通過して肌の奥深くまで浸透します。
- 水溶性:ローションやジェルなど。角層までしか浸透しません。
脂溶性成分は、肌の奥深くまで浸透するのが特徴です。
しかし、これが かゆみを引き起こす原因 にもなるんです。
なぜ脂溶性成分がかゆくなるの?
かゆみを感じる神経は、本来、肌の奥深くにはありません。ところが、肌が乾燥したり炎症を起こしたりすると、かゆみ神経が角層の近くまで伸びてきてしまうんです。
そこに、脂溶性成分が浸透してくると…
「かゆみ神経を刺激 → かゆみが悪化」
という悪循環に陥ってしまうのです。
つまり、商品や成分が悪いのではなく、シンプルなオイルでも荒れてしまうぐらいの肌状態になってしまっている可能性が非常に高いことが可能性として挙げられます。
ここから考えるオイル洗顔、オイル美容で肌荒れする人の仮説
そもそもミネラルオイルを塗って、痒くなる、赤くなる、ムズムズする人は、肌の神経がむき出しの状態では?ないかという仮説が考えられます。
さらにいうと水溶性の成分や化粧品、化粧水や乳液を塗っても同じように痒くなる、赤くなる、ムズムズする人はさらに肌の状態が悪化している可能性が非常に高いことが考えられます。
商品を悪者にする前に、自分の肌の状態をまずは見極めることで根本の解決方が見つかるのではと考えられます。
ミネラルオイル、シンプルなオイルで痒くなる人、赤くなる人はこうやればいいんじゃない?
まずはオイルやシンプルな保湿剤を塗っても肌が痒くなる、赤くなる、ムズムズするという肌状態から脱却しないといけないと今では考えております。
それはたぶん、何かを塗ってどうこうするよりも、今までのルーティンやその時の肌状態を生んでいる背景に問題があるように思います。
例えばこのような状態です
- 美容医療をやっていて肌状態がすごく不安定な状態
- 高濃度のレチノールやビタミンCなど攻めのスキンケアや過剰なスキンケアをやってしまっている
- とにかく濃いメイク、落とすを繰り返し、皮脂やNMFなどの保湿因子を落としすぎてしまい、バリア機能が低下している。つまり洗いすぎる生活習慣をしている人
などです。
肌を良くしようと思い、過剰に頑張ってしまっているパターンやいわゆる無意識に肌を痛めるルーティンが生活の中に取り込まれてしまっていて、原因にすら上がらないパターンです。
このような場合、例えば、美容医療でダウンタイム中の場合ですと、肌を休め、化粧品を控えるという対策が必要かと考えますし、洗顔やクレンジングのしすぎで知らずに肌が荒れているなどの状態の場合は、1日でのクレンジングや洗顔回数を減らすといった対策が必要になってきます。
でも、どうしてもスキンケアはしたい、洗顔やクレンジング回数は減らしたくないとなると、オイルをなるべく含まない水系の化粧水とか乳液が良いかもしれませんし、朝洗顔をお湯でやるとかの工夫が必要になってくると考えます。
水系はオイルほど深く浸透しないため神経まで触らない可能性が高いためです。水系でも痒くなる場合はかなり肌状態が悪いので、メイクも何もしないなど、とにかく肌を休めるのが良いと考えられます。
その他、ホルモンバランスの崩れや季節性のアレルギーなど原因を挙げればキリがありませんが、言いたいことは自分の肌の状態は今どういう状態で、実際は普通に見える、調子が良いと思っていても、実際は神経むき出しで、スキンケアで肌がギリギリの状態を保っている人がかなり多いのではないかと考えています。
原因追求をして根本解決をしよう
また化粧水や乳液で保湿して良い感じだけど、実は同じようにギリギリの状態をただ保っているだけの延命治療みたいな肌状態の人も結構いると思っていまして、そういう方もやはり生活習慣を含めて色々見直して、まずは土台をしっかりとして行った方がいいのではと思います。
まずはバリア機能を低下させていないか生活を徹底解剖しましょう。
<番外編> ミネラルオイルはダメだけど、その他の植物油では大丈夫という意見と感想。どのオイルだったら良いの?
よくミネラルオイルがダメな人は植物油やその他のオイルだと大丈夫だったみたいな投稿もよく見かけますが、以上述べてきた理論を仮説として合ってた場合に非常に仮説として説明がつきやすいと考えています。
植物油はミネラルオイルと違い、肌に蓋をするというよりは化学構造的に皮脂に近い成分で構成されているために保湿の役割をする可能性があり、バリア機能の補助になっているのではないかと考えます。つまりスキンケアでギリギリを保っている状態です。個人的にはミネラルオイルで肌が荒れる状態がそもそもおかしいので、そこを脱却したいかなと思います
おそらくここから考えると、まずはミネラルオイルで刺激を感じる肌状態を脱却してほしいところですが、それでもオイル洗顔やオイル美容をやってみたい方に向けてどのオイルが良いのかをランキングしてみたいと思います
1位 精製度がスクワラン、ホホバ油
→単一成分のオイルのため、不純物が少なく、また皮脂に近い成分
2位 コメドができにくい植物油、馬油
→複合成分だが、皮脂に近い成分
3位 ニキビの問題を無視して、コメドができやすいとされている植物油
→乾燥肌の人が多いため、コメドは一旦無視して良いかもしれません
オイル洗顔をしたらダメだったけど、通常のクレンジングに戻したらよくなった人も中には単純にオイルで神経を刺激されるだけで、実は洗い流すことで神経を刺激するものは取り除いたものの、実際は過剰に皮脂を取りすぎてしまう美容習慣で、肌の土台が崩れておりギリギリの状態になってるだけの人も結構いると個人的には考えています。一つの可能性として頭に入れておきたいところです。
以上いかがでしたでしょうか。
オイル洗顔、オイル美容で肌トラブルが起こった方も本当にそのオイルで肌荒れしたのかを判断するのはとても難しい現象だと考えます。まずは一旦考えられる原因の洗い出しが必要です。ぜひ参考にしてみてください