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脂性肌とオイル洗顔とオイル美容。本当に脂性肌にオイルはNGなのか徹底調査。

2025. 01. 23

たまに脂性肌の方はオイルを塗るとよくないという投稿を見かけます。それは本当でしょうか?今回、現段階での科学的に分かっている脂性肌とオイル洗顔、オイル美容の関係性について解説してみました。

 

そもそも脂性肌とは

脂性肌は、顔の毛穴が大きく開き、「不潔」または「脂ぎった」外観になることから、ニキビのない患者も含め、あらゆるタイプの患者が訴える一般的な皮膚科の悩みです

皮脂の分泌量は個人によって大きく異なり、その理由はまだ十分に解明されていません。いくつかの要因が説明されており、一部の患者の皮膚が他の患者よりも脂っぽい理由を説明するのに役立ちます

つまり現代の科学では脂性肌って存在はしているけれども、そもそもなぜ脂性肌になるのかというのがほとんどわかっていない状態です。

 

あなたは脂性肌ではないかも

現在、脂性肌かもしれないと思われている要因は研究レベルでは以下のことが言われています

  • 男性である場合
  • 排卵期の閉経前女性
  • 春または夏の季節
  • 湿気の多い気候
  • アフリカ系アメリカ人
  • アンドロゲンが上昇する疾患(先天性副腎過形成、卵巣または副腎のアンドロゲン分泌腫瘍など)

おそらくですが、多くの方が思ったのはあれ?私には当てはまらないかもということです。日本に住んでおられる女性の場合は、日本は湿気も多いし、春や夏は確かにそうかもしれないけど、それは環境による影響であって、季節性や場所など一過性の場合もあり、実際は脂性肌ではないかもしれないということです。

また、現在のところ脂性肌は外部要因もありますが、ホルモンバランスの影響でなると言われている説が有効なため、慢性的なのか一過性なのかの判断はすごく難しいところです。

またもう一つ言えることはニキビがたくさんできてしまう=脂性肌という構図ではないことです。皮脂をよく出す方、脂性肌の方はニキビとの相関があるとは言われておりますが、だからといって全てイコール脂性肌というのは誤りです。

脂性肌の人がニキビができやすいのは可能性としてありますが、ニキビができやすいから脂性肌かもは違うかもしれないということです。ニキビがなぜできるかついてはまた別の記事でご説明したいと思います。

ではここでなぜ皮脂が出るのかについて学んで行きたいと思います。

 

なぜ皮脂は出るの?

皮脂は人間の肌を守る大切な物質です。ウイルスや外的な刺激から肌を守る役割、抗菌効果、シグナル伝達物質としての役割、保湿の役割など実に様々な役割を持っており、肌を守っている大切な物質で、肌を守るために皮脂は出ています。

 

皮脂はどうやって出る量を調節してる?

皮脂はどのように出る量を調節しているのかご存知でしょうか?それを学ぶ前に知っておきたいのが、皮脂はどうやって貯蔵されるかという問題です。

 

皮脂は作った分だけ、そのまま皮膚の表面に出てくるという単純な仕組みには肌はなっていません。人間の体の中で作られた皮脂は、まず皮脂腺の導管に蓄えられます。そしてもうひとつ、蓄えられる場所がありますlそれが角質層です。角質ではミルフィーユの間にオイルを挟むように浸されており蓄えています。

 

そしてここが大切なポイントですが、角質の皮脂がなくなると、毛細管現象で貯蔵庫である(皮脂腺の導管から吸い上げられ、常に一定量を保つように供給される仕組みになっています。

 

つまり脂性肌の人が洗っても洗ってもまた皮脂が出てくるのはこのためです。逆に洗いすぎは皮膚を傷め、ニキビの原因になることが言われているため注意も必要です

 

皮膚表面のオイル量を感知して、毛細管現象で皮膚表面に皮脂腺から皮脂を供給しているために、脂性肌の人がオイルを塗っても塗らなくても皮膚内で作られる皮脂量は変わらず、皮膚の表面ではむしろ供給が減る可能性があることが言えると思います。

 

ポイント

  • 皮脂は産生と貯蔵という2つの段階がある。作られる量は皮膚表面の皮脂量の影響は受けないが、皮膚表面の皮脂量に応じて貯蔵庫から供給される
  • 皮膚表面に出ている皮脂だけではなく、角質内の皮脂も貯蔵の役割をしている
  • 皮膚表面の皮脂を頑張って取っても、作られる皮脂量は変わらない、そして取られた分、肌を守るために貯蔵された部分から出てくる

 

つまり肌内部の中で皮脂を作る量は変わらないけれども、洗えば洗うほど皮膚表面に出てくる皮脂量のトータル量は増えてくるということです。

 

つまり洗いすぎると皮脂量を作る量は増えないけど、皮脂が出ることが、また体の中で作る量よりも洗いすぎてしまうと枯渇して、足りなくなるということも言えると思います。

 

脂性肌の方がオイルを塗るとニキビになるは本当?

現段階では脂性肌の人がオイルを塗るとニキビになるという科学的な根拠はほとんどありません。よくお医者さんがこのような見解を述べる人が多いですが、実際に論文や医学書を調べるとそもそも化粧品でニキビになるという論文がほとんど見当たりません。

 

ただし、このような誤解はおそらく特定のオイルを塗るとコメドが形成されるという研究から来ているのだと思われます。特に一部の植物オイルはコメドを形成しやすいと言われていますが、植物オイルといっても、精製度や状態はメーカーによって全然違い、何がどのように作用して形成されるかまではよく分かっていません。

また化粧品の場合は、単一種類のオイルを塗る状況というのがほとんどないため、必ず他の成分が配合されており、配合されているからといって、できやすいかどうかは分かりません。

ポイント

  • ニキビがなぜできるのかはまだ科学的によく分かっていない
  • ニキビができることと化粧品の関係性に関する研究はほとんどない
  • さらに、脂性肌がなぜ脂性肌になるのかがわかっていないので、脂性肌の人がオイルを塗るとニキビになるという研究はほとんどない

 

つまり現段階ではよく分からないのが現状です。気になる方はコメドができやすい植物オイルの種類ぐらいは知っておいても良いかもしれません。ただし正確に言うと知ったからといって、その成分が入ったある製品を使ったらコメドができるかという単純な話にはなりませんのでお間違えのなく。

 

<仮説>脂性肌の人がオイルを塗ると浸透圧の関係で逆に皮膚表面に出てくる皮脂量は減るのでは?

 

ここまで見てきた中で、ひとつの疑問が湧いてくるはずだと思っています。それは脂性肌の人がオイルを塗ると逆に浸透圧の関係で皮膚表面に出てくる皮脂の量は減るのではないかという仮説が立ち上がることです。

 

以前、ベビーオイル洗顔のススメの書籍を書いた際にとても面白いアンケート結果がありました。実際にベビーオイルでクレンジング及び洗顔をした人が、そのあと体感として皮脂が減ったという感想がたくさん届きました。こちら実際にアンケートを取ったところ、とても面白い結果が出ました。

参考文献
インテリジェンススキンケア ベビーオイル洗顔のススメ(星海社) P249

 

もちろん皮脂が増えた減ったという話は体感ですが、これまでの現代の分かっている範囲での科学的な観点とアンケート結果はすごくマッチしていると感じました。こういう分からないことから仮説を立て楽しむのも美容のひとつだと考えます。

 

おそらくですが、ここで皮脂が減ったと感じたのは、いつも洗った後に皮脂が染み出してくる感覚があり、逆にオイル洗顔をすると塗布前と塗布後で体感が変わらないからではないかという仮説も言えるかもしれません。とにかく面白い結果です。

 

個人的にはオイル洗顔は

  • 乾燥肌の人にとっては乾燥対策に
  • 脂性肌の人にとっては皮脂量の調節対策に

役立っているのではと考えており、現代の科学的な見解からも脂性肌だからオイル洗顔やオイル美容はやめておいた方が良いという意見はあまり参考にならないと考えています。そもそも化粧品のために人間の皮脂の産生量が調節されるわけではありません。

 

結論

脂性肌の方がオイル美容やオイル洗顔をするとニキビになる、肌に良くないという科学的根拠は今のところ全くなく、問題がない、むしろ気にしなくて良いと考えています。また自分が脂性肌と思っていても、実際にオイル美容やオイル洗顔をして、実際にやってみて自分の肌の調子を見て継続するのか、やめるのか判断してみてはいかがでしょうか。

 

ただし、ニキビができている状態でのオイルの使用は注意が必要かと思います。例えば乾燥や洗いすぎといった状態でニキビができている場合は効果的かもしれませんが、違う要因の場合は逆効果になる可能性もあると考えます。

 

そしてもうひとつがコメドができやすいと知られているオイルは一旦は控えても良いかもしれません。脂性肌の方がたくさん商品の選択肢がある中で、あえてその成分を選ぶ必要もないからです。

 

以上いかがでしたでしょうか。今回の情報が何かの参考になれば幸いです。

 

(参考文献)

1 Oily Skin: A review of Treatment Options. Endly DC, Miller RA.
J Clin Aesthet Dermatol 2017 Aug;10(8):49-55. Epub 2017 Aug 1.

2 An investigation of the human sebaceous gland Kligman AM, Shelly WB
J Invest Dermatol 1958;30:99-125

3 Oily skin: an overview Sakuma TH, Maibach HI
Skin Pharmacol Physiol 2012;25(5):227-235